寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「どうしたの、朔くん?」
「………。」
みるみるうちに、携帯電話を見つめたまま無言になった朔くんの眉間に皺が寄る。
「………………、電話。」
「うん?」
「………父さんからだ。」
朔くんの声が固い。
その表情も、険しいものになる。
「え、朔くんのお父さんから?」
「………あぁ。」
「っっ、なら、早く出ないと。」
私が焦る間も、鳴り続ける朔くんの携帯電話。
それほど、急用なのかも知れない。