寵愛の姫 Ⅳ
「ふふ、莉茉も同じ幸せを感じてる?」
大切な親友を、思う。
今頃、彼女も、幸せに包まれているだろうか?
そうであれば良い。
莉茉の最愛の人、朔くんのお兄さんの、温かな腕の中で、幸せである事を願う。
明日も。
明後日も、彼女が幸せである事を。
ーーー私は、そう疑いもしなかった。
「………………え…?」
緊張感を孕んだ朔くんの声に混じり、真っ暗に染まった空から雷鳴が轟く。
豪雨となった天気が、私の胸の中に、消えない不安を落としていった。