寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
エピローグ
「「ママ、“眠り姫”は、まだ起きないの?」」
声を揃えた2人が、つぶらな瞳で私を見上げる。
「ふふっ、そうね、もう少し、お寝坊さんかも知れないわ。」
くすくすと笑って、愛おしい子達の頭を撫でた。
「ねぇ、茉莉?」
「………。」
視線を向けた先。
ぴくりとも、何の反応もしない私の妹の姿。
茉莉は、あの最後の日から、ずっとこの病室で眠り続けている。
永い時間の中で、その身体はずいぶんと痩せて、細くなってしまった。