寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
茉莉の王子様は、誰かしら?
早く、現れて欲しい。
私の大切な妹の、唯一無二となる人が。
眠り姫は、王子様のキスで目覚めるって、決まっているんだから。
「翼、籃?」
「ん?」
「なぁに、ママ?」
貴方達にも、現れるかしら?
身を焦がすような、そんな恋をする女性が。
私と暁のように。
「ママ、花瓶のお水を変えてくるから、良い子で待っててね?」
「はーい!」
「うん、分かった!」
聞き分けの良い双子を茉莉の所に残し、病室に備え付きの洗面所へ入る。
「本当、双子なのに性格が違うんだから。」
くすくすと、笑った。