寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「………、そう、ね、」


2人を抱き締め返しながら、茉莉から一瞬も目を逸らせない。


「ーーーー眠り姫?」

「っっ、」



掠れた茉莉の声に、じわりと、私の目に涙が溜まる。



「………、えぇ、2人の貴方へのあだ名よ。」


………あぁ、幻なんかじゃない。









目の前のこれは、ちゃんと現実なんだ。



「おはよう、茉莉。」



この時を。







今日を、待っていた。








ずっと、ずっと、あの日から。



「………、おは、よう、莉茉…。」

「ふふっ、」



泣きながら、私は笑った。
< 419 / 422 >

この作品をシェア

pagetop