寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………、そう、ね、」
2人を抱き締め返しながら、茉莉から一瞬も目を逸らせない。
「ーーーー眠り姫?」
「っっ、」
掠れた茉莉の声に、じわりと、私の目に涙が溜まる。
「………、えぇ、2人の貴方へのあだ名よ。」
………あぁ、幻なんかじゃない。
目の前のこれは、ちゃんと現実なんだ。
「おはよう、茉莉。」
この時を。
今日を、待っていた。
ずっと、ずっと、あの日から。
「………、おは、よう、莉茉…。」
「ふふっ、」
泣きながら、私は笑った。