寵愛の姫 Ⅳ
暗雲ー朔sideー
「ーーーーーはい?」
滅多に掛かってこない父さんからの珍しい電話に、俺は眉をひそめるしかない。
それに、何故だ胸がざわめき、不吉な予感がしたけれど、神無に促されて出た。
「………………朔。」
「ん、どうしたの?」
「直ぐに、日笠総合病院に来なさい。」
「………。」
簡潔な父さんの言葉に、俺の思考が固まり、その意味を理解する事が出来ず。
「………………え…?」
父さんに対して、そんなすっとぼけた声が、無意識に俺の口から零れ落ちていった。