寵愛の姫 Ⅳ
「………病院?」
何で、だよ。
怪訝に眉をしかめたけど、次の父さんの言葉に、俺は目を見開く事になる。
「莉茉さんが刺されて、病院に運ばれた。」
「………っっ、莉茉さんが?」
息を飲む。
どくどくと鳴る心音を落ち着かせる為に、神無を抱き締める自分の腕に力を込めた。
ーーーーなぁ、嘘、だろ?
誰か、冗談だと言ってくれ。
「朔、大丈夫か?」
「………あぁ。」
何とか、父さんの問いには頷けたけど。
動揺は隠せなかった。