寵愛の姫 Ⅳ
「俺と美夜も、病院に向かってる最中だ。」
「………、そう。」
「だから朔、お前も直ぐに病院に来なさい。」
「っっ、分かった。」
ぷつりと、切れた通話。
携帯電話を、呆然と見つめる。
………………莉茉さんが、刺された?
だって、笑ってたじゃないか。
あんなに、綺麗に。
ついさっきまで、兄貴と2人で、楽しそうに笑い合っていたのに。
「っっ、何で、だよっ…。」
突然、もたらされたその事実に、俺は打ち砕かれた感覚を覚えた。