寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「っっ、あ、に、き…。」
ーーーーなら、兄貴は?
俺以上に、その事実に打ちのめされているはずだ。
何よりも大切な莉茉さんを守れなかったと、一番、自分の事を責める。
「………朔くん?」
「っっ、」
そっと、手に触れる温もり。
それにはっと、視線を向ければ、心配そうに俺を見上げる神無の瞳とかち合う。
「病院って、何?」
「………。」
「ねぇ、莉茉がどうかしたの?」
「っっ、神無っ…。」
腕の中の、その温もりにすがり付く。