寵愛の姫 Ⅳ  【完結】

「っっ、あ、に、き…。」



ーーーーなら、兄貴は?






俺以上に、その事実に打ちのめされているはずだ。







何よりも大切な莉茉さんを守れなかったと、一番、自分の事を責める。




「………朔くん?」

「っっ、」



そっと、手に触れる温もり。






それにはっと、視線を向ければ、心配そうに俺を見上げる神無の瞳とかち合う。




「病院って、何?」


「………。」


「ねぇ、莉茉がどうかしたの?」


「っっ、神無っ…。」



腕の中の、その温もりにすがり付く。
< 46 / 422 >

この作品をシェア

pagetop