寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「っっ、」
ぞっとするような想像に、吐き気が込み上げる。
なぁ、兄貴。
今、こんな気持ちなのか?
莉茉さんの無事を願い。
何よりも大切な人を失うかもしれない恐怖を味わって、戦っているのか?
「………………朔くん…?」
神無の肩に自分の額を押し付ければ、困惑したような声で呼ばれる。
「………、大丈夫、朔くん?」
「………っっ、」
訳も分からないだろうに、俺を労る神無に愛おしさが募っていく。
………失えない。
俺の唯一無二の、神無だけは。
ーーーーーー何があっても。