寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「っっ、」



ぞっとするような想像に、吐き気が込み上げる。












なぁ、兄貴。





今、こんな気持ちなのか?








莉茉さんの無事を願い。




何よりも大切な人を失うかもしれない恐怖を味わって、戦っているのか?



「………………朔くん…?」



神無の肩に自分の額を押し付ければ、困惑したような声で呼ばれる。



「………、大丈夫、朔くん?」

「………っっ、」



訳も分からないだろうに、俺を労る神無に愛おしさが募っていく。








………失えない。




俺の唯一無二の、神無だけは。







ーーーーーー何があっても。
< 48 / 422 >

この作品をシェア

pagetop