寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「神無、本当の事だ。」
「っっ、」
神無の目から、涙が零れ落ちる。
痛い、な。
神無の涙は、俺の胸を締め付けさせる。
「直ぐに、俺も莉茉さんが運ばれた病院に向かわないと。」
涙を溜めた神無の目尻をそっと拭って、俺はその場から立ち上がった。
動揺するのは、一瞬で良い。
揺らいだままでは、いられないから。
「神無?」
俺は、神無を見下ろす。
「神無は、どうする?」
「………どう…?」
戸惑った表情の神無が、すがるような眼差しを向けて、俺を見上げた。