寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「っっ、」



知り得た真実に、零れ落ちそうになった声を、私は手を当てて押さえ込む。







聞いてしまった事実に、血の気が引き、自分の身体ががくがくと震えた。









ーーーー貴方は、誰?






目の前で、くすくすと笑い、知らない男に凭れ掛かるのは、私の母親の顔じゃない。





ただの、女だった。



「っ、うっ、…。」



吐き気が込み上げる。






その場にいたくなくて、私は無我夢中で、そのまま家から飛び出した。







………俺に似てきた?





な、に、それ。





ねぇ、待ってよ。





………………………じゃあ…。
< 6 / 422 >

この作品をシェア

pagetop