寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「っっ、」
知り得た真実に、零れ落ちそうになった声を、私は手を当てて押さえ込む。
聞いてしまった事実に、血の気が引き、自分の身体ががくがくと震えた。
ーーーー貴方は、誰?
目の前で、くすくすと笑い、知らない男に凭れ掛かるのは、私の母親の顔じゃない。
ただの、女だった。
「っ、うっ、…。」
吐き気が込み上げる。
その場にいたくなくて、私は無我夢中で、そのまま家から飛び出した。
………俺に似てきた?
な、に、それ。
ねぇ、待ってよ。
………………………じゃあ…。