寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………っ、叶…。」
取り出した煙草を口にしようとした、その瞬間。
顔を強張らせた大輔が、俺へと駆け寄る。
「大輔、どうした?」
あまりの大輔の慌てように、俺は眉をひそめる。
………………何かあったのか?
ざわりと、俺の胸がざわつく。
「………叶、2人で上で話したい。」
「上で?」
「………あぁ。」
ちらりと、周囲に目をやる大輔。
俺も同じように向ければ、仲間達から窺うような視線とかち合った。
どうやら、注目が集まってしまったらしい。
「分かった。」
いまだに固い表情の大輔に1つ頷いて、俺は他の幹部に目を向けた。