寵愛の姫 Ⅳ
「っっ、」
後悔に歯噛みする。
守ると誓ったのに。
莉茉の笑顔は、誰にも奪わせないと。
ぎりぎりと、強く握り締めた自分の手が痛むのも、今は関係ない。
………もっとだ。
此くらいじゃあ、足りない。
あいつが受けた痛みは、こんなもんじゃない。
「………………莉茉。」
なぁ、頼むから俺を置いていくな。
さっきみたいに笑ってくれ。
………………俺の隣で。
もう一度、君の笑顔が見たい。
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