寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………………、暁。」
不意に声を掛けられる。
ゆっくりと後ろを振り返れば、片手に携帯を、もう一方にには紙袋を持った大雅がいた。
「暁、大丈夫か?」
「………あぁ。」
「………………、取り敢えず、暁は先に服を着替えた方が良い。」
大雅が眉根を寄せる。
「………服?」
大雅の言葉に自分の服を見下ろせば、莉茉を抱き上げた時に付いただろう血で染まっていた。
ーーーー俺の手さえも。