寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「ほら、新しい服を用意したから。」
大雅に押し付けられる紙袋。
「………悪いな、大雅。」
どこかぼんやりとした思考のまま、大雅から押し付けられた紙袋を受け取った。
「さぁ、暁は個室でも借りて着替えてきなよ。」
「………あぁ。」
ここでごねていても、仕方ない。
さっさと着替えて、戻って来るか。
「………分かった、行ってくる。」
大雅から受け取った紙袋を手に、名残惜しく思いながらも着替えに向かう。
………………俺が個室に入って最初にしたのは、自分の手に付いた莉茉の血を洗う事だった。