寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「大雅。」
「ん?」
「病院に来るのは、親父だけか?」
大雅が首を横に振る。
「いや、姐さんと朔、彼女の神無ちゃんも一緒に来るみたいだよ。」
………お袋や、朔達もか。
「分かった。」
大雅の報告に、お座なりに返事を返した俺は、莉茉の元へと歩き出す。
ーーーーこのまま。
莉茉が俺の元から儚く消えちまうんじゃないかと、胸が騒いで仕方がねぇ。
そんな思いを追い出すよう、急かされるように、自分の足を速めた。