寵愛の姫 Ⅳ
慟哭ー大雅sideー
「一命を取り止めました。」
開かれた手術室のドア。
集まった全員に詰め寄られた医者が、怯えを滲ませたまま発した言葉に、その場が安堵に包まれる。
組長に姐さん。
そして、朔に、その彼女の神無ちゃん。
その全員が、ほっと胸を撫で下ろした。
「………っ、本当に良かった、莉茉ちゃん。」
くしゃりと、俺も顔を緩ませる。
ーーーーーーしかし。
その安堵も、一瞬の事だった。
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慟哭ー大雅sideー