寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「ーーーーんだと?」

「っっ、」



暁の低い威嚇に、医者が顔を青ざめさせ、足を一歩、後ろに後退させた。




「っ、私は最善を尽くしました。」




若干、医者の声が震える。




「………、これ以上は、患者さん次第です。」




頭を下げた医者が足早に立ち去るのを、俺は呆然と見送った。










あり得ない現実。





打ちのめされ程の事実に、自分の血の気が引いていく気がした。
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