寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………………暁…。」
今、一番この目の前の現実に打ちのめされているのは、他の誰でもない。
………暁、お前だろ?
強く握り締められた、その拳が、その現れであり、証拠だろうが。
「っっ、」
もう、見ていられない。
その堪える姿が痛々しくて、ますます、俺の胸を締め付けていく。
この、あまりの息苦しさに、このまま溺れてしまいそうになる。
「なぁ、そうだろ、莉茉?」
莉茉ちゃんに寄り添う暁が、その髪を優しく撫でた。