寵愛の姫 Ⅳ  【完結】

「っっ、………きっと、目を覚ました莉茉に必要になるんだから。」



その瞬間。





神無ちゃんの目から、とても綺麗な一粒の涙が、ぽろりと零れ落ちる。



「………神無…。」

「ね、良いでしょう、朔くん?」

「………あぁ、莉茉さんが困らないように、一緒に買いに行こう。」



ぼろぼろと零れ落ちる神無ちゃんの涙を、引き寄せた朔が拭う。



「いつ、莉茉さんが目を覚ましたって良いように。」

「ふふ、お寝坊さんかもよ?」




泣きながら、神無ちゃんと朔の2人は、笑い合った。
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