寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「茉莉は、良い子ね?」
それからは、これがお母さんの口癖になった。
何度も。
繰り返し私の髪を撫でながら、些細な事で誉めては、大袈裟に喜ぶ。
ーーーー莉茉に、軽蔑の目を向けて。
その胸の内に、“秘密”をバラされる事への恐怖心を隠しながら。
「………………お、母さん?」
困惑する莉茉。
当たり前だ。
だって、そうされる事の理由が、莉茉には何一つ分からないんだから。
メニュー