お調子令嬢は王子様の視線を奪う

第4話

 今日から夏休み。
 学園の生活から解放された生徒たちは、各々の予定を夏休みの課題と膝を突き合わせながら計画する休み初日。

 会場の清掃を終えた私は、寮の部屋でこれからどうするべきか考えていた。

 どうすっかなぁ、実家帰るかなぁ。でもこのまま夏休み一杯自分探しの旅に出るというのも。……課題? 知らん。

 頭の中でうんうんとあれじゃないこれじゃないと考えながらラフな姿でベッドに身を投げ出していた時、コンコンと扉を叩く音が聞こえてきた。

 え~出たくないなぁ。
 といっても出ないわけにはいかないので、仕方な~く出る事にしました。

「はいはい今行きますからねぇ」

 気だるさを引きずりながらも部屋の扉を開くと……。

「昨日ぶりですわね、ロモラッドさん」

「あ、宗教の勧誘ならお断りしておりますので。我が家は代々神道系を信仰しておりまして……」

「違いますわよ! 昨日あったばかりでしょう!? 大体我が国には一神教しか無いはずですわ!!」

 なんだこの人は? 朝からそんなに怒鳴るなんて変わった人だな。
 ……あ! よく見たらルーゼンスお嬢様じゃん。
 なんで私の部屋知ってんの? えーなんかめんどくさい気配。

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