お調子令嬢は王子様の視線を奪う
「この度はどのようなご用件でしょうか? 実を言うと私これからちょっと急ぎの用がございまして出発しなければならないんです」

「その割には随分と楽な格好をしていますが? わたくしには部屋着以外の何物にも見えません」

 しまった見破られてしまった。さすがにこの格好じゃきつかったか、反省。

「まあいいわ。それよりも貴女、お暇ならわたくしについてきなさい」

「え、どこに連れて行こうと言うんですか? ま、まさか昨日の御礼に舎弟達にリンチさせるつもりじゃあ!?」

 そうだ! このお嬢様はヤンキー集団のボス。暴力で何でも解決するような危険集団のヘッドなのだ!
 何ということだ!? 下手をしたら私の人生はここで終わる!!

「そんなわけないでしょう!? 全部貴女の勝手な憶測だという事を自覚なさい! わたくしには危険思想を持つ部下などおりません」

 何? そうだったのか。
 てっきり前の学校で校舎中の窓ガラスを壊して回ったりしたから、こんな場末の学園に飛ばされて来たもんだと。……後で生徒会長にも教えてあーげよっと。

< 11 / 39 >

この作品をシェア

pagetop