お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 しかしそれだったらどこに連れて行くと言うんだろうか? ほんのちょぴっとだけ気になった。

「貴女はこの学校において、最も貴族の品格を持たない者と判断いたしました。そんなあなたを更生すれば、他の方々もきっと己の貴族としての本文を自覚する事でしょう」

「つまり私に貴族のなんたるかをわざわざ教えに迎えに来たと? ……あ、間に合ってますんでどうぞお帰りください。実は言うと私これからちょっと急ぎの用がございまして……」

「それはさっき言った嘘でしょう。……貴女がどう思おうと来ていただきますわ。これからのわたくしの学園生活を優雅なものにする為にも、この学園の生徒たちの意識を改革せねばなりません。誉れに思いなさい、その第一人者となることを」

 いいよ、遠慮するよもう。これまで通りグダグダ生きていきたいんだけど。

「拒否権を発動いたします」

「そんなものはありません! さあドレスに着替えて出発いたしますわよ」

「えぇ……。じゃあ、あれです。私のドレスは虫食いにあったので、到底よそ様の御宅などへお伺い出来るものでは無いのですはい」

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