お調子令嬢は王子様の視線を奪う

第5話

「着きましたわ。ここは当家が所有するゲストハウスの一つですの」

「はえ~、おっきい……」

 馬車に揺られて四十分くらいかなぁ。
 喧騒の街を抜けて、静かな森のそばにある大きな屋敷へとやってきたぜ。

「さ、中に入りましょうか」

「はぁ……めんどくさいなあ」

「……せめて口に出すのはおやめなさい」

 玄関の扉を開けると、そこにはメイドの人たちがズラリと勢揃いしていた。

「お待ちしておりました、ルーゼンスお嬢様。そちらが今回のパーティーに参加して下さるご学友の方でしょうか?」

「学友、という表現にいささか引っかかりを覚えないでもありませんが、ロモラッドさんです。さ、ロモラッドさん? ご挨拶をなさいな」

 一番偉そうなメイドさんと話していたお嬢様は、この私に挨拶をしろとおっしゃってきた。
 挨拶、ね。まあ挨拶程度堅苦しいもんでも無いでしょ。

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