お調子令嬢は王子様の視線を奪う
「ただいまご紹介に預かりましたロモラッド・ド・レモレッドでございます! しかし皆様方、世間では夏化粧が人に物に自然にと爽やかな彩りを与える今日この頃! 私なんぞは最近熱帯夜に悩まされてダラダラと汗を流しながら、それでも高いびきをかく事をやめられず。母親にも昔から、あんたという子は面倒くさがりと呼ばれ、窓一つ開けるよりも睡眠を優先するなど、流れる汗のようにダラダラとした性分でございまして」

「あ、貴女はさっきから一体何をおっしゃってるんですの?!」

「え? だって挨拶をするようにと……」

「貴女何か勘違いをなさってますわ!!」 

 何さもう、挨拶しろって言ったのそっちなのに……。

「こ、これはまた……。随分と個性的なご学友様でいらっしゃいますね、お嬢様」

「~~ッもう!! ロモラッドさん! 貴女という方はッ!!!」

 何で怒られてだろ私? だってメイドの人達口元抑えて笑ってるんだから、掴みの挨拶はバッチリでしょうに。

「お嬢様、そう声を荒げずに。まずはお部屋に案内致しませんと。……それではロモラッド様、こちらへついて来て下さい」

「あ、はーい」

「……もうっ! 何なのかしらこの人は! わたくしがこんなにも苦労しているというのに!」

 おぉ怖い。そんなに怒鳴ると血圧上がりますぜ?
 なんてのは置いといて、メイドさんにトコトコとついて行きましょ行きましょ。

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