お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 そうして通された部屋は……こりゃまた立派な衣裳部屋。
 ここでドレスに着替えろと?

「ロモラッド様は、何かご希望のデザインなどはございますでしょうか?」

「はぁそうですねぇ。白と黒を基調として、スカートがふんわりと長くて、それでいて動きやすさを重視したようなそんな……」

「貴女それはメイド服ではありませんか!? ロモラッドさん、貴女はこれからパーティーに出席するんですのよ? 馬車の中で散々説明したでしょう!!」

 ダメかぁ。せっかく楽に過ごせそうだったんだけどなぁ。

 仕方ないので、メイド長と思わしき人のオススメに任せることにした。それにしてもこのメイドさん、お嬢様に負けず劣らずの美人さんじゃないか。きっと男を切らした事なんて無いんだろうな。男を手玉に取る手腕について後で話を聞いてみたい。

 そんなこんなでドレスチェンジ。さぁてその出来栄えとは?

 鏡の前に移動した私。そこに映っていたのは、爽やかな夏にピッタリの空色コーデ! 上質な気品漂うフレッシュさにマッチする花も恥じらう深窓の乙女とはまさしく私の事である。ヒュー、ビューティフル!

「結構なお点前で。流石、幾多のメイド達を従える貴女の敏腕には只々感服するばかりです」

「まぁ、ありがとうございますロモラッド様。お褒め頂き光栄で御座いますわ」

「流石という程の付き合いは全く無いでしょう。貴女も付き合わなくていいんですのよ?」

 そんな細かいところはいいじゃないか。
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