お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 やっぱりめんどくさいなぁ、なんて思うけど仕方ないからここは素直に返事をしてあげようじゃないか。

「へいほいはい」

「はいは一回!」

「一回しか言ってませんが?」

「……んんああもう!!」

 お嬢様は頭を抱えながら、それでも何とか持ち直すと、 パンッ! と手を叩く。
 するとそこには、先程までのお怒り顔が嘘のような、淑女然としたお嬢様の姿があった。

 なるほど、これがお嬢様の本当のお姿、とでも言うのだろうか? 我々はその真相を探るべくパーティー会場へ潜入することにした」

「貴女何を言ってますの? いいから早くついて来てくださいまし」

「あ、はい」

 お嬢様の後に続いて、私達は会場の中へと足を踏み入れた。

「おおぉ……!」

 そこはまさに別世界。
 煌びやかなシャンデリアに照らされた室内は、まるで昼間のように明るい。
 はえ~、こりゃ学園の体育館を貸し切った学生の舞踏会とは大違いだなぁ。

「さ、ロモラッドさん。まずはそこでわたくしの優雅な振る舞いを見て、しっかりとお勉強なさいな」

 そう言うと、お嬢様はとあるテーブルに移動して何やら上品なマダムに会釈をして会話を始めた。

< 18 / 39 >

この作品をシェア

pagetop