お調子令嬢は王子様の視線を奪う
「お久しぶりですわ叔母様。ご機嫌はいかがかしら?」

「まぁルーゼンス、久しぶりね。こうして貴女の大きくなった姿を見られるだけでも、このパーティーに参加した甲斐があるというものよ」

「ふふ、わたくしの成長が叔母様を楽しませているとあれば、これに勝る喜びはそうありませんわ」

「あら嬉しいこと言ってくれるわね。……どうかしらこちらのジュース? 私の故郷で取れたマスカットから作られたものだけれど、是非感想を聞かせて貰いたいわ」

「では頂きます。……うん、とても美味しいですわ。甘みと酸味のバランスが絶妙です。それに香りは正しく叔母様の故郷の土壌が優れたものである事を示しています。しかしながら、当家の農地で栽培されたフルーツも決して負けるものではありません。本日はそれを是非、味わって頂きたいですわ」

「流石の弁舌ね。そちらの成長も体験出来て、私もまだまだ負けられない気分にさせられるわ。ふふ、やっぱり来て良かった」

(まあこのようなところでしょうか? さてロモラッドさん、貴女はこの華麗なやり取りを見てどう思うのかしら? ……って!!?)


「いやそれでですね? すっかり出来上がったその酒屋の旦那様が、田んぼの前でどっかり座って『この野郎は俺の酒をまーったく飲みやがらねぇふてぇ野郎だ!』と言いまして、それを見てあたしゃ言ってやったわけですよ『おたくさん、ウシガエルが酒を飲むわけないじゃないですか。下戸だけに』なんつって!」

「ほえぇ、随分と変わった話をお知りで」


「何をやってるんですのロモラッドさん!!」
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