お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 同じステージに立っていた隣の生徒会長に話しかけて、彼女の正体を尋ねた。

「あんな人いたっけ? 何かいかにもなお嬢様と言いますか、高飛車そうなご令嬢は?」

「あ、う~ん…………。そうだ思い出した! 彼女はコッテンパー家のご令嬢で、今度うちの学園に転入してくるんじゃなかったか」

 ああ、あの公爵家の! でも一つ疑問がある。

「はえ~、なんでまた今の時期に? もう夏休み入っちゃうよ」

「そのあたりの事情は知らないよ。真面目そうに見えて意外と前の学校でブイブイいわせてたとか?」

「ほえ~、確かに気の強そうな顔はしてるけど。裏じゃ公爵の御父上も手を焼くはねっ返りって訳だ。きっとお嬢様口調だって表向きで、裏じゃ五千人の舎弟に向かってオラオラ言ってるんだ!」

「そんな人に入って来られてもね、やっていけるかな? 親の権力と強面の部下をけしかけて生徒会を裏で操ろうとか考えてるんじゃないだろうか?」

「マジ? ということは、そのうちクーデターを起こして学園長を亡き者に……」


「ちょっとそこ、聞こえてますわよ!? 勝手なことをおっしゃらないでくださいまし!!」

 やっべ、聞こえてしまったみたいだ。声は通る上に耳まで良いなんて、これは厄介だぜ。

< 2 / 39 >

この作品をシェア

pagetop