お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 パーティーに出席していた来賓の方と話をしていただけなのに……。何でかまたお嬢様は怒って私の方へと飛び出して来た。この人以外とアグレッシブだなぁ。

「え、何です? ウィットに富んだ会話で社交の場を盛り上げていたのに」

「何です? ではありません! 大体何ですのこの扇子は?! 没収!!!」

「あぁそんな……。ひど~い、さっきから人の私物を取り上げて」

「私の立ち振る舞いを見て、貴族令嬢らしさを学べとそう申しつけたはずでしょう!?」

「だからそれに倣って来賓の方を楽しませてですね……」

「一体わたくしの何を倣ったらあんな会話になるというんですの?!」

「やだなぁ、ちょっとした自己アレンジじゃないですか」

「原型が無いでしょうが!!!」

 折角の和やかな雰囲気なのに、そんな大声出す必要無いじゃないか。私はただ、お嬢様の真似をすれば良いって言うからそうしただけだ。一体何が違うと言うんだろうか? しかしお嬢様は納得していないようで、 うーん。


「ふふ、まさかあの子のあんな姿を見る事になるなんてね。大人びたように感じていたけど、まだまだ年相応に楽しそうじゃない。そうよね、私達みたいな大人と話すより、ああして友達とはしゃいでいる方がずっと素敵だわ。あんなに面白い友達を持てるなんて、正直羨ましいわ」
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