お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 というわけで無事に屋敷の中に乗り込むことに成功した。
 そこの大広間、悪趣味な成金じみた内装のその部屋に奴は居た。

「ロモラッドお前ぇ! 何の脈絡もなく唐突に現れて! 無礼な奴ッ!!」

「無礼なのはお互い様。お抱えの私兵は外でぶっ飛ばされてここには来ないよ。さあ観念してお縄につきな!」

「何が観念しろだ! ……おお、よく見たらルーゼンスを連れて来たのか。ならば話は早い、今日こそ俺のものになれルーゼンス!!」

 私の後ろに隠れていたお嬢様は一歩前へと出た。
 その顔には、今日で全てを終わらせると言わんばかりの決意がありありと浮かんでいた。

「ドゥローさん、今まではっきりと申し上げなかったわたくしも悪いのかもしれません。それを認めるのははなはだ不本意ですが……ドゥローさん、わたくしはあなたのことが大嫌いですの! 顔も見たくありませんし一生関わりたくもありません! ですので、わたくしが貴方のような方の妻になる事は未来永劫ございませんわ!」

「な!? そんな馬鹿な!!? ……お前か、お前が言わせているのかロモラッドォォ!!!」

 はたまた何でそうなるわけよ? 相も変わらず頭がおかしいというか、話が通じないというか。

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