お調子令嬢は王子様の視線を奪う
「もういい、こうなった以上力ずくで連れて帰るしかないようだ。おいロモラッド、決闘だ! 俺はな、お前みたいな身分の低い成り上がりのクソ女がいけ好かない! 偶々家が近い幼馴染というだけで調子に乗って! 俺をいつも見下してッ!!」

「アンタのことは昔から馬鹿だとは思っていたけど、見下しての部分は完全に被害妄想だからね。って言っても聞かないか。……仕方ない、決闘に乗ってやろうじゃん!」

「ロモラッドさん。……いえ、この際思いっきりやってあげなさい!」

「ほいさ!」

 お嬢様からのぶっ飛ばし許可も降りたし、さあやるぞ!

「舐めるな! 俺はお前の下じゃない!!」

 ドゥローのアホは短杖を懐から取り出すと私に向かって突き出してきた。
 でも残念、そっからのパターンはお見通しだ。
 私の目論見通り奴は火球を放って来た。いやぁ見える見える! お決まりのパターンだわいさ。

 ひょひょい避けてみたらドゥローくんったらお顔真っ赤にしちゃって、可愛いんだから。……いや本当は可愛くも何ともないけど。

「お前はいつもそうだ! ロクに魔法も使えない出来損ないのポンコツの癖してっ、いつもいつも俺を……!!」

 わけのわからん逆恨みはごめんだ。
 折角だから最近身につけたあの技で行くぞ。

「うおおおおお!!!」

「当たれ……当たれぇえええ!!!」

 だが当たらない。奴の攻撃を掻い潜って急接近。
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