お調子令嬢は王子様の視線を奪う
 見よ! 荒々しい大海に吹き荒れる嵐の如き凄絶なこの一撃をッ!!

 私はドゥローの背後に回り込み、その両腕を掴んだ。

「は、離せ!? 離せぇええ!!」

 その両腕をクロスしてロック! そのまま肩車の要領で持ち上げ後方に――。

「日本海式竜巻固めぇぇぇいやぁッ!!!」

「ぐぐわあ!!!?」

 ズドンッ!! 大きな音を立てて背中と後頭部を地面に叩きつけられたドゥローは、もはや完全グロッキー状態だ。
 私はホールドを解いて、人差し指を天井へと向けた。

「イッチバァーン! てなわけで私の勝ちだなぁドゥローお坊ちゃま?」

「ロモラッドっ……。お前、お前は……っ。俺は、お前をッ! ………………」

 何が言いたかったのか知らないが、そのまま気絶しちゃった。

「ロモラッドさん。随分とその、すごい技をお持ちですのね……」

 これは流石に引かれたかな? そりゃあ初見ならば圧倒もされるであろう私の秘儀。

「昔から魔法というのが苦手でして。代わりにこういうのばっか覚えたんですよ、ははははは!」
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