お調子令嬢は王子様の視線を奪う

第11話

 その時、この火球でズタボロになった哀れな悪趣味広間に誰かが入って来るのを感じた。
 うん? あ、あれはもしや……。

「あ、ラピさんじゃん! どしたんすか? こんな汚い所にイケメンさんは似合いませんぜ」

「ハハハ、いやそう大した用じゃないさ。なんせ君が終わらせてしまったからね、僕の仕事はほんの少ししか残ってないんだ」

 はてて? 一体なんじゃらほいって感じで考えてみても、やっぱり分からず仕舞い。ラピさんったら相変わらずの爽やかイケメン笑顔。う~ん何を考えているのか読み取れない。
 何て悩んでいた時、私の服の袖を誰かが掴む。隣を見るとお嬢様。

「あら何か? 一応ハッピーエンドというわけですし、問題は何も無いのでは?」

「そういうことではありませんわ! あ、貴女は!? この方を一体何方とっ!」

「このお方? はて、ラピさんが何か? 昨日のパーティーに出席してたって事はお嬢様の親戚の人じゃないんですか?」

 見比べてみると顔立ちが似てないこともないようなそんな気がしてくる。ということはやっぱり親類の誰かじゃないのかな?
 お嬢様はそれでも声を荒げることをやめない。
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