お調子令嬢は王子様の視線を奪う
「確かに繋がりのあるお方ではありますがっ! 本当にご存じないのですか? こちらにおわすお方はこの国の第三王位継承者のラピウート・ラ・ミル・ケル・ロモラッゾ殿下でいらっしゃいますわよ!!」

「へ? え、マジで? ……あ! いやだなぁお嬢様ったらからかっちゃって。私だって王子様の顔と名前くらい知ってますよ。でもどう考えてもこの人じゃ」

「ああ、おそらく君が知っているのは兄上だろう。彼は僕と違って公の場によく顔を出すからね。……改めてよろしく、僕は弟のラピウートだ」

 ありゃまあ! マジの王子様だったんですかい! こいつはびっくりだぜ。

「でも、だったらどうして昨日それを教えてくれなかったんで? イケズぅ」

「ちょっと!? 失礼ですわよロモラッドさん!!」

「いやいいんだルーズ。ロモラッドさん、君は僕の顔を見てもピンと来て無かったみたいだからね。ほんの少しの間だけでも、身分を忘れて会話をしてみたかったのさ。騙してしまったようですまないね」

 は~ん、なるほど。
 王宮暮らし特有の身分疲れって奴ね。いや特有かどうか知らんけど。
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