お調子令嬢は王子様の視線を奪う

第2話

 大体、今ここにいる人間は堅苦しい貴族生活から一時でも開放されたいと思ってるような、子息の出来損ないの集まりなんだけれど。もちろん私を含めて。

 そう、ここは貴族の通う学園と言っても、貴族の三男坊だか四男坊だかが半ば厄介払いで押し込められるような落ちこぼれの学校だ。
 そんな学校だから教師の目は厳しいし、学園の畑からスイカの一玉でもちょこっとチョロまかそうとしたら厳しいお叱りを受けるような、そんな場所なのだ。

 しかし、私は諦めない。ここで引き下がってはマンドリン奏者(初めて一週間)の名折れだ。

「へへへ、冗談ですよお嬢様。まあそうかっかなさらず……いやしかしほんと真っ赤っかなお顔ですな。何をそこまで怒っているのか知りませんが、どうです? 吹奏楽部の演奏に合わせて一晩中貴族としての説法など解いてみては?」

「あ、貴女は……!! 貴族としてのあり方とはこのような場で易々と語るものではありません! もう我慢出来ませんわ!! その性根を叩き直してご覧に入れます。お互いの従者同士で決闘と行きましょう。……プランセート」

 誰? と一瞬思ったがその声に反応して後ろにいた従者が前に出た。
 あ、こちらのイケメンさんがプラさんね。

「お初にお目にかかりますお嬢さん。私、こちらのルーゼルスお嬢様の付き人をさせていただいておりますプランセートという者。以後お見知りおきを」

 そのイケメンさんは私に挨拶をすると綺麗に腰を曲げて頭を下げた。
 これはこちらもきちんと答えないと、私も令嬢の端くれとして名折れだ。

< 4 / 39 >

この作品をシェア

pagetop