2年前、離婚したはずの夫から、花束と手紙が届きました
 ロジェリオと結婚したのは、彼が二十歳。私が二十二歳の時だ。地方貴族で、たった一人の男子だった彼は、それはそれは大切に育てられて、望むものは全て手に入ると勘違いした人だった。

 絹のような滑らかな長い金髪。吸い込まれそうな碧眼。ロジェリオは顔立ちがよかったけれど、好みの女性を見つけるとすぐに口説くし、女遊びの激しい人だ。

 地方貴族の端くれだった私は、5人の弟の長女として育った。

 父も母も亡くなり、ひとつ年下で結婚して子どもが3人いる弟が、小さな土地を切り盛りしている。そんな弟が、援助金目当てにロジェリオとの縁談に飛びついた。ロジェリオの家も、男子が多く生まれる家系ということで、私との縁談に飛びついた。

 いわゆる政略結婚というものだけど、ロジェリオは、最初から私の容姿を嫌っていた。

 私は吊り目で、冷たい印象の顔立ちだ。髪の毛もストレートではなく、ぱっとしない赤錆色のくせっけ。
「ぶさいくを抱かなくてはいけないなんて嫌だ」
 と、ロジェリオには面と向かって言われたし、
 ロジェリオの母親も
「子どもを作るのが優先。顔は我慢なさい」と言うばかり。
 イラッとしたけど、弟が持ってきてくれた縁談だ。
 すべての言葉は呑み込んだ。

 結婚して初夜を迎えたけど、はい、出しました、ぐらいの義務感の強い行為だった。
 強く体を揺さぶられたから、ふしぶしが痛くて、悲しかった。
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