娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
うわぁん、と泣き出す男の子。
どうやら家で飼っていたのに逃げ出してしまったようで···

「シャル、探せる魔法とかあったりするかしら?」
「探すとしたら感知魔法だが···」
「よし、感知魔法展開よっ!!」
「いや、探す相手から魔力とか出てないと無理だから!」
「あら、残念ね」

やっぱりそう上手い話はないわよね、と小さくため息を吐く。
しかし泣いている子供を見捨てる事なんて出来るはずもない。

どうしようかしら、なんて考えていた時だった。


「····英雄ってのはその程度のもんなんだな」


その一言は本当に小さな声で呟かれたものだった。
それでも、嫌な言葉というものは何故か聞こえるもので。

「今言ったの誰ですか」
「リリス?」
「貴方の日常を命がけで守って貰ってるくせに、よくそんな事が言えるわね!?」

頭に血が上るとはこういうことなのだろうか。
一気にカッとなり、気付けば声のした方を怒鳴り付けていた。

そして私の怒りに反応したのは、他の誰でもないシャルで。
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