娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「いいんだ、リリス。万能でもなければ子供一人泣き止ませる事が出来ない。出来るのは壊す事だけ···その結果付いてきた称号だ。その程度、それは正しい評価だよ」
「な、何を言って····っ」

そう答えたシャルは、いつか見た諦めからくる笑顔をしていて。

“シャルは、本当にそんな風に思ってるんだ···”

その事実を突き付けられて胸が苦しくなった。
そんな事ないのに。
シャルは凄いのに。

ーー私はシャルがいるだけでこんなに幸せなのに。

それなのに他の誰でもないシャル本人がそう思っているのが悲しくて、悔しくて。
だからーー·····



「·······わかったわ、だったらしっかり教えてあげる」
「リリス?」
「まずは猫ちゃんを探すわよ!他にも困ってる事があれば全員言いなさい!他でもない英雄様が解決してあげるんだからっ!!」
「り、リリス!?!?」

唖然としているシャルを無視し、子供を抱き上げていない方の腕を掴んで歩き出す。

“英雄の凄さを実感したらいいわ!!”

そんな決意を胸に子供の家に向かった。




「このドアから出てったのね?」
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