娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

13.いってらっしゃいを言える幸せ

娼館にお金を払い、娼婦を買う。
そして買った娼婦に体調や気分を確認しながら

「今日、触ってもいいか····?」

なんて事を聞くのは、シャルくらいじゃないだろうか。


“こういうところ、本当にシャルね···!”

ハジメテでもないのに恥ずかしそうに目を逸らしながら尋ねられ、なんだか無性に嬉しくなる。
ぴょん、と外された視線の前に飛び込み目を合わせると、相変わらずうっすら赤くなったエメラルドの瞳と目が合った。


「どっちだと思う?」
「口元がめちゃくちゃ笑ってるから了承と判断した」

少し意地悪して聞いてみるが、あっさりそう言ったシャルからそっと口付けが落ちてくる。
いつも掠めるように降ってくる軽い口付けが本当に好きだと感じた。


“大事にされてる···なんて、おこがましいかしら”

それでも思うだけなら許されるから、今日も私はシャルに大事にされてると思うし、シャルを大事にしたいと思うのだ。


二人で街に出掛けた日の夜はただ二人で眠り、しかしそれ以外の日は貪るように求め合った。
会えなかった時間を埋めるように、会えなくなる時間を考えないように。



「ーーーんっ」
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