娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
だが相手はいわば魔法のプロだ、教えて貰えれば·······

「それは、あれだよ。グってやったら発動する」
「は?」
「こう、グってやるんだよ、グって···」
「いや、わからないんだけど···シルビル様はどうやって魔法を使ってるのよ」
「·······自然に出来るから···こう、グってやったらさ·····」

あ、これはダメだ。
天才は凡人に教えられないってやつだ。

残念過ぎる沈黙が部屋に流れる。
それでも、“寝かせてあげたい”という気持ちはあって。


「·······私のお客様はみんな気付いたら寝てたから、今までと同じ事をすれば···」
「俺も、眠れる···?」
「どれがキッカケで魔法が発動しているかわからないから手探りになるけど···」
「それは、もちろん···っ!」

小さな期待を瞳に宿した彼は、英雄というより幼い子供に見えて不思議な感じだ。
思わず小さな笑みが溢れる。

「じゃあ、とりあえず仕事するわ」
「え?」
「だって私は娼婦ですから!」

ぶっちゃけ今まで膝枕以上の出来事はなかったので不安ではあるが、友達といても友達は急に寝たりはしなかった。
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