娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
なんて笑うシャルが可愛く見えるのはやっぱり惚れた欲目というやつか。
とか考えつつ、そもそも女将が通したんだからシャルがそこまで引け目を感じる必要はないわけで。

“こういう融通を利かせてくれるのは、私がシャルを好きだから···よね”


娼婦というのはこの国では最も人気の職業で、そのお陰か『娼婦だから』と他人から下に見られる事もない。

もちろん貴族が平民を見下す···という典型的な身分制はあるがそれでもそれは“平民だから”であって“娼婦だから”ではなかった。


だからこそ平民から成り上がりのような形で貴族の妻になる娼婦もいたりする。
他所は知らないが、ライッツでは少なくとも『娼婦が相手を好き』で、かつ『女将のお眼鏡に叶った』相手であればこうして仲を取り持つかのような事もしてくれる。

そして二人が上手くいけば、噂が噂を呼びまた将来有望な若い女の子がライッツの門を叩くキッカケの1つになるのだ。


“あんたの意思に関係なく相手が払ったお金に見合ったものを返すんだ”なんて言っていたくせにしっかり後押ししてくれるんだから···

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