娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
この幸福が、いつまでも続きますようにと願いながらーー······









ーーーくそ。
それは誰が呟いた言葉だったのか。

このままでは勝機がない、だから作れと無茶を言われ殺意が湧いた。
しかし相手が悪すぎる。

「英雄の名は本物ってか····」

過去の英雄達のようにド派手な魔法と組み合わせてくるタイプだったらまだやり易かったのに、身体強化特化型ってなんだよ。

本部の立てた作戦通りでは絶対に勝てない。

「いっそ死んでこいって言われた方が楽だな」

もう正攻法での勝利は見えない、それなのに結果だけは求められて苛立ちが募り足元の石に八つ当たりをした。

その石は思ったよりも遠くに飛んで、カァン!と山には似合わない音を響かせる。

「? こ、れは·····ははっ、なるほど、これが。」
どうせどう転んでも自分は死ぬのだ。
敵国英雄に殺されるか、作戦失敗の責任を取らされて見せしめに殺されるか。

だったらもう、死に方なんてどうでもいいじゃないか。
そう考え笑いが込み上げる。



「もう、全部全部壊れればいいーー·····」


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