娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
相手が寝るのは決まって仕事中だけ。

私の“夢”への意識が作用しているというなら、仕事をすれば魔法は発動するんじゃないかと考えたのだ。

“とは言っても、私処女なのよね···いつも気付いたら皆寝てたし···”


何からすれば、と思案する。
そんな私に大人しく目線を向けている彼と目が合い、一先ず手を握ってみた。

「·······どう?」
「どうって?」
「私の魔法、発動してる?」
「いや、全然」

おかしい、この間スワンは手を握っただけで寝たのに。


それからの時間はある意味“無”だった。
今までのお客さんとした数々のプレイ···という名の膝枕や軽いハグ、繋いだ手は指を絡ませるものにもしてみたのだが·····。

「全然発動しないな」
「な、なんでなの····」

発動しない魔法にどんどん焦る。
というかここまで発動の兆しがないというなら。

「本当に魔力なんてあるのかしら····」

不安から思わず溢した本音を、彼はハッキリと否定した。

「いや、俺が魔力を感知したんだから絶対ある。けど、発動条件があるんだろうな」
「発動条件·····」

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