娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
シャルが何を考えているのか、昨日と今日でなんで考えが変わったのか。
それとも昨日からこういうつもりだった?
あの言葉はサヨナラの餞別だった?

本当に何もわからなくて呆然とする。


「わかるのは、シャルがもう来ないって事だけね·····」


自分で呟いたその言葉に酷く傷付き、乾いた笑いが口から漏れた。




その後どうやって自室に戻ったのか、気付けば一人自分のベッドに横になり沈もうとしている太陽をぼんやり眺めていた。


“あの太陽が沈んだら月が出てきて、その月に私は毎夜祈ってて····”

「シャル·····」

ぽつりと声に出して呼んでみるが返事なんて当然ない。
彼は今どこにいるんだろう。
前線に戻ったのか、それともまだ王都にいるのかそれすらもわからない。

彼がまた前線に戻っていたとしても、そもそも前線の情報は秘匿部分も多いためかこちらに情報が流れる頃にはもう次の場所に行ったり帰ってきている事も多くて。
自分にはシャルが今どうしているかの情報すら手に入れる手段はないのだ。

「情報が入る頃にはもうそこにシャルはいない···つまり文句を言いに行くことも出来ないのね···」

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