娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「こんなに惚れさせて、あっさり手放した上についでのようにNo.1のプライドまで取り上げてくなんて、本当に何様!?俺様なの!?いや、英雄様か。あ、割りと本当に偉い人じゃない····いや、で、でも!!」


今では魔法の力だったと知ってしまったものの、それでも娼館のNo.1という肩書きは私の守るべきプライドだった、誇りだったのだ。

私の気持ちだけじゃなくその誇りまで奪って、しかもただの平民になった私は例え戦争が終わりシャルの居場所を知ることが出来ても接点がない。
会いに行ける身分もない。

唯一あった肩書きも、もうない。


「そんなの完全に詰みじゃないの!!なにが“今までありがとう”よ!“どうか自由に生きてくれ”よ!私はもう···っ」

シャルがいないと、上手く泣くことすら出来ないというのに。


シャルが寝れないように、私は泣けない。
だったらもう、泣こうなんて考えない。


「成り上がってやるわ····、もう一回娼婦としてNo.1に成り上がってやるわ!!」


シャルは、嘘が吐けない不器用なくらい正直な人だから。
彼が守ると決めたならきっと全て守って王都に帰ってくるはずだから。
< 156 / 308 >

この作品をシェア

pagetop