娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
私は平民出身で、物凄く家が貧乏だったので玉の輿というよりはただ単にお給料の高さに惹かれて志したクチなのだが、それでもこのライッツでデビューしてからずっとNo.1だった実績だってある。
·······まぁ、実力はないんだけど。

だから、再び娼婦を目指すのは不自然じゃなかったし、娼婦になるのも容易いなんて考えていたのだが。


「ダメだよ、雇えない」
「えっ、嘘でしょ!?」

あっさり女将に断られて唖然とする。

「·····くっ、なら他の娼館に行っちゃうわよ!?」
「他所でも雇って貰えないと思うよ」
「えっ!!」

少し前からシャル専属になっていたとはいえ、昨日まで娼婦として、ライッツのNo.1として君臨していたのに断られた挙げ句他でも就職口がない····!?

「ま、またまた~っ!」

内心焦りまくりだが、動揺を微笑みに隠し優雅に微笑む。

“床の実力はなくてもこれくらいは出来るんだから!”


「あんた、自分の価値を言ってごらん」
「へ?」
「娼婦としてのウリだよ」
「あ、そ、そうね、いっぱい····いっぱいあるわ、例えば·····」

私の娼婦としての価値。
< 158 / 308 >

この作品をシェア

pagetop