娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「だ、だってそうでしょ!?捨てそびれたとは言え娼婦なのよ、ハジメテが今日かもしれないんだからドキドキだってするでしょ!」


私の言葉を聞き、ふむ、と少し考え込んだ彼はそっと私の肩を軽く押す。

お互いベッドに腰かけていただけなので、軽く押されただけで簡単にバランスを崩した私は気付けば彼に押し倒されていた。

「ぁ、え···?」
「俺が寝れる可能性があるなら何でも試したいんだ、なぁ、リリスはどうしたら俺にドキドキしてくれる?」
「······ッ」

“あんた”ではなく、初めて呼ばれた“リリス”という名前に一瞬で胸が高鳴るのを感じた。

“なんで、名前なんて皆呼ぶのに···!”

さっきまでちゃんと魔法が発動するのか、とか本当に魔力なんてあるのか、なんて不安に思っていたのが嘘のように彼の事しか考えられない。
宝石のようなエメラルドの瞳がじっとただ見下ろしてきて、目を逸らしたいのに何故か逸らせなかった。


「し、シルビル様····?」
「シャルでいいよ」
「シャル···?」
「なに、リリス」


なに、と聞いた癖に。


「ーーーんっ」
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